株式会社の設立手続き|準備から登記完了まで徹底解説
「会社を作りたいけど、何から始めればいいかわからない」 「設立の流れを詳しく知りたい」
株式会社の設立は、定款の作成から登記申請まで、多くの手続きが必要です。
本記事では、株式会社の設立手続きについて、準備段階から登記完了後の届出まで、詳しく解説します。
第1章 設立前の準備
1-1 会社設立の全体像
株式会社の設立は、大きく分けて以下の流れで進めます。
① 基本事項の決定
↓
② 定款の作成
↓
③ 定款の認証(公証役場)
↓
④ 資本金の払込み
↓
⑤ 設立登記の申請(法務局)
↓
⑥ 登記完了
↓
⑦ 設立後の届出(税務署、年金事務所など)
1-2 設立にかかる期間
| 手続き | 期間の目安 |
|---|---|
| 基本事項の決定 | 数日〜数週間 |
| 定款作成〜認証 | 1週間程度 |
| 資本金払込み〜登記申請 | 数日 |
| 登記完了 | 申請から1〜2週間 |
| 合計 | 2〜4週間程度 |
準備がスムーズに進めば、最短で1週間程度での設立も可能です。
1-3 設立にかかる費用
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 定款認証手数料 | 3万円〜5万円(資本金額による) |
| 定款の印紙代 | 4万円(電子定款なら0円) |
| 登録免許税 | 15万円(または資本金の0.7%の高い方) |
| その他 | 印鑑作成費、登記事項証明書取得費など |
| 合計 | 約22万円〜25万円程度 |
電子定款を利用すれば、印紙代4万円を節約できます。当事務所は電子定款です。
第2章 基本事項の決定
2-1 決めるべき事項
会社設立にあたって、以下の基本事項を決める必要があります。
| 決定事項 | 内容 |
|---|---|
| 商号(会社名) | 会社の名前 |
| 本店所在地 | 会社の住所 |
| 事業目的 | 会社が行う事業の内容 |
| 資本金の額 | 会社に出資する金額 |
| 発起人 | 会社設立の発起人(出資者) |
| 役員 | 取締役、代表取締役、(監査役) |
| 事業年度 | 決算期 |
| 発行可能株式総数 | 将来発行できる株式の上限 |
| 設立時発行株式数 | 設立時に発行する株式の数 |
| 1株の払込金額 | 1株あたりの出資額 |
2-2 商号(会社名)
商号のルール
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 株式会社を含める | 「株式会社○○」または「○○株式会社」 |
| 使用可能な文字 | 漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、アラビア数字、一定の符号 |
| 使用可能な符号 | 「&」「’」「,」「-」「.」「・」(符号は先頭・末尾に使用不可) |
| 同一住所で同一商号は不可 | 同じ住所に同じ会社名は登記できない |
類似商号の調査
同一住所でなければ、同じ商号の会社を設立することは可能ですが、不正競争防止法などにより、著名な商号と類似する商号は問題になる可能性があります。
事前に法務局の商号調査を行い、類似商号がないか確認することをおすすめします。
2-3 本店所在地
本店所在地の決め方
| 選択肢 | メリット・デメリット |
|---|---|
| 自宅 | 費用がかからない、ただし賃貸の場合は契約上問題になることも |
| 賃貸オフィス | 信用力が高い、ただしコストがかかる |
| レンタルオフィス・バーチャルオフィス | 低コストで一等地の住所が使える |
定款への記載
定款には、本店所在地を「最小行政区画」まで記載するか、「具体的な住所」まで記載するかを選べます。
| 記載方法 | 例 | メリット |
|---|---|---|
| 最小行政区画 | 大阪市 | 大阪市内の移転なら定款変更不要 |
| 具体的住所 | 大阪市中央区谷町二丁目5番4号 | 特になし |
実務上は、最小行政区画までの記載が一般的です。
2-4 事業目的
事業目的の記載
事業目的は、会社が行う事業内容を定款に記載します。
登記簿に記載され、誰でも閲覧できます。
記載のポイント
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 具体的に記載 | 「飲食店の経営」「不動産の売買、賃貸、仲介」など |
| 許認可との関係 | 許認可が必要な事業は、目的に記載が必要な場合がある |
| 将来の事業も記載可能 | 今後行う予定の事業も記載しておくと、目的変更登記が不要 |
| 包括的条項 | 「前各号に附帯関連する一切の事業」を末尾に記載 |
事業目的の記載例
1. 飲食店の経営
2. 食料品の販売
3. ケータリングサービス業
4. イベントの企画、運営
5. 前各号に附帯関連する一切の事業
2-5 資本金の額
資本金とは
資本金とは、会社設立時に出資者(発起人)が会社に払い込む金額です。
会社法上、資本金の最低額は1円です。
資本金の決め方
| 視点 | ポイント |
|---|---|
| 事業に必要な資金 | 当面の運転資金+設備投資などを考慮 |
| 信用力 | 資本金が少なすぎると取引先からの信用が低い場合も |
| 消費税の免税 | 資本金1,000万円未満なら設立1期目・2期目は原則免税 |
| 法人住民税の均等割 | 資本金1,000万円以下なら均等割が安い |
| 許認可の要件 | 一部の許認可では資本金の要件あり |
よくある資本金額
| 資本金額 | コメント |
|---|---|
| 100万円 | 小規模事業、一人会社に多い |
| 300万円 | 一般的なスタートアップ |
| 500万円〜1,000万円 | 対外的な信用を重視する場合 |
2-6 発起人
発起人とは
発起人とは、会社設立の企画者として定款に署名する人です。
発起人は、設立時に出資を行い、設立後は株主となります。
発起人の要件
| 要件 |
| 1人以上(上限なし) |
| 個人でも法人でも可 |
| 未成年者も可(ただし親権者の同意が必要) |
2-7 役員
必要な役員
株式会社の設立にあたって、以下の役員を決める必要があります。
| 役員 | 必要人数 |
|---|---|
| 取締役 | 1人以上 |
| 代表取締役 | 取締役が1人なら自動的に代表取締役 |
| 監査役 | 任意(取締役会設置会社では原則必要) |
役員の任期
| 役員 | 原則の任期 | 非公開会社の特例 |
|---|---|---|
| 取締役 | 2年 | 定款で最長10年まで伸長可能 |
| 監査役 | 4年 | 定款で最長10年まで伸長可能 |
非公開会社(株式の譲渡制限がある会社)では、役員の任期を最長10年まで伸ばすことができます。
任期を長くすると、役員変更登記の頻度が減り、登記費用を節約できます。
2-8 事業年度(決算期)
事業年度とは
事業年度とは、会社の会計期間のことです。1年以内で自由に設定できます。
決算月の決め方
| 視点 | ポイント |
|---|---|
| 繁忙期を避ける | 決算作業が繁忙期と重ならないようにする |
| 設立日から離す | 免税期間を最大限活用するため |
| キリのよい月 | 3月、9月、12月など |
【例】消費税の免税期間を最大化する場合
設立日が4月の場合、決算月を3月にすると1期目が約12か月になり、免税期間を最大限活用できます。
2-9 株式に関する事項
発行可能株式総数
発行可能株式総数とは、会社が将来発行できる株式の上限です。
設立時は、発行可能株式総数の4分の1以上を発行する必要があります(非公開会社は制限なし)。
設立時発行株式数と1株の払込金額
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設立時発行株式数 | 設立時に発行する株式の数 |
| 1株の払込金額 | 1株あたりの出資額 |
| 資本金 | 設立時発行株式数 × 1株の払込金額 |
【例】
- 資本金100万円
- 1株の払込金額1万円
- 設立時発行株式数100株
第3章 定款の作成
3-1 定款とは
定款とは、会社の基本的なルールを定めた文書です。
会社の「憲法」とも言われ、商号、目的、本店所在地、役員、株式などについて規定します。
3-2 定款の記載事項
定款の記載事項は、以下の3つに分類されます。
| 分類 | 内容 | 記載しないと |
|---|---|---|
| 絶対的記載事項 | 必ず記載しなければならない事項 | 定款が無効 |
| 相対的記載事項 | 定めを置く場合に記載が必要な事項 | 定めが無効 |
| 任意的記載事項 | 任意で記載できる事項 | 影響なし |
絶対的記載事項(必須)
| 事項 |
| 商号 |
| 目的 |
| 本店の所在地 |
| 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額 |
| 発起人の氏名または名称および住所 |
| 発行可能株式総数 |
相対的記載事項(定める場合は記載必須)
| 事項 |
| 株式の譲渡制限 |
| 株券の発行 |
| 役員の任期の伸長 |
| 取締役会の設置 |
| 監査役の設置 |
| 現物出資 |
| 財産引受け |
| 発起人の報酬 |
| 設立費用 |
任意的記載事項(自由に記載)
| 事項 |
| 事業年度 |
| 定時株主総会の招集時期 |
| 株主総会の議長 |
| 取締役・監査役の員数 |
| 役員報酬の決定方法 |
3-3 定款のひな形
【株式会社の定款記載例(発起設立・取締役1名・非公開会社)】
定 款
第1章 総 則
(商号)
第1条 当会社は、株式会社○○○○と称する。
(目的)
第2条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
(1) ○○○○○○
(2) ○○○○○○
(3) 前各号に附帯関連する一切の事業
(本店の所在地)
第3条 当会社は、本店を大阪市中央区に置く。
(公告方法)
第4条 当会社の公告方法は、官報に掲載する方法により行う。
第2章 株 式
(発行可能株式総数)
第5条 当会社の発行可能株式総数は、○○○株とする。
(株券の不発行)
第6条 当会社の株式については、株券を発行しない。
(株式の譲渡制限)
第7条 当会社の株式を譲渡により取得するには、取締役の承認を
受けなければならない。
(相続人等に対する株式の売渡請求)
第8条 当会社は、相続その他の一般承継により当会社の株式を取得
した者に対し、当該株式を当会社に売り渡すことを請求する
ことができる。
(株主名簿記載事項の記載等の請求)
第9条 当会社の株式取得者が株主名簿記載事項を株主名簿に記載
又は記録することを請求するには、株式取得者とその取得
した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録
された者又はその相続人その他の一般承継人が当会社所定
の書式による請求書に署名又は記名押印し、共同して請求
しなければならない。ただし、法令に別段の定めがある場合
は、株式取得者が単独で請求することができる。
(基準日)
第10条 当会社は、毎事業年度末日の最終の株主名簿に記載又は
記録された議決権を有する株主をもって、その事業年度に
関する定時株主総会において権利を行使することができる
株主とする。
2 前項のほか、必要があるときは、取締役の決定により、あらかじめ
公告して、一定の日の最終の株主名簿に記載又は記録されている
株主又は登録株式質権者をもって、その権利を行使することができる
者とすることができる。
第3章 株主総会
(招集)
第11条 当会社の定時株主総会は、毎事業年度末日の翌日から
3か月以内に招集し、臨時株主総会は、必要がある場合に
随時これを招集する。
(招集権者及び議長)
第12条 株主総会は、法令に別段の定めがある場合を除き、
取締役が招集し、その議長となる。
(株主総会の決議)
第13条 株主総会の決議は、法令又は定款に別段の定めがある場合
を除き、出席した議決権を行使することができる株主の議決権
の過半数をもって行う。
2 会社法第309条第2項の定めによる決議は、議決権を行使する
ことができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、
出席した当該株主の議決権の3分の2以上をもって行う。
(株主総会議事録)
第14条 株主総会の議事については、法令の定めるところにより
議事録を作成する。
第4章 取締役
(取締役の員数)
第15条 当会社の取締役は、1名以上3名以内とする。
(取締役の選任)
第16条 取締役は、株主総会において、議決権を行使することが
できる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、
出席した当該株主の議決権の過半数の決議によって選任する。
2 取締役の選任については、累積投票によらない。
(取締役の任期)
第17条 取締役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度
のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2 補欠として選任された取締役の任期は、前任者の任期の満了する
時までとする。
(代表取締役)
第18条 取締役が2名以上ある場合には、取締役の互選により
代表取締役1名を定める。
(取締役の報酬及び退職慰労金)
第19条 取締役の報酬及び退職慰労金は、株主総会の決議をもって
定める。
第5章 計 算
(事業年度)
第20条 当会社の事業年度は、毎年○月○日から翌年○月○日までの
年1期とする。
(剰余金の配当)
第21条 剰余金の配当は、毎事業年度末日の最終の株主名簿に
記載又は記録された株主又は登録株式質権者に対して行う。
(配当金の除斥期間)
第22条 剰余金の配当が、支払開始の日から3年を経過しても
受領されないときは、当会社は、その支払いの義務を免れる
ものとする。
第6章 附 則
(設立に際して出資される財産の価額及び成立後の資本金の額)
第23条 当会社の設立に際して出資される財産の価額は、
金○○○万円とする。
2 当会社の成立後の資本金の額は、金○○○万円とする。
(設立時発行株式)
第24条 当会社の設立時発行株式の数は、○○○株とし、その発行
価額は1株につき金○万円とする。
(最初の事業年度)
第25条 当会社の最初の事業年度は、会社成立の日から令和○年
○月○日までとする。
(設立時取締役)
第26条 当会社の設立時取締役は、次のとおりとする。
設立時取締役 ○○○○
(発起人の氏名、住所、設立時発行株式の引受け)
第27条 発起人の氏名、住所、発起人が設立に際して引き受ける
株式の数及び払い込むべき金額は、次のとおりである。
大阪市○○区○○町○丁目○番○号
発起人 ○○○○ ○○○株 金○○○万円
(法令の準拠)
第28条 本定款に規定のない事項は、すべて会社法その他の法令に
従う。
以上、株式会社○○○○を設立するため、発起人○○○○は、
電磁的記録である本定款を作成し、電子署名をする。
令和○年○月○日
発起人 ○○○○
3-4 電子定款と紙の定款
定款は、紙で作成することも、電子的に作成(電子定款)することもできます。
| 項目 | 紙の定款 | 電子定款 |
|---|---|---|
| 印紙代 | 4万円 | 0円 |
| 作成方法 | 印刷して押印 | PDFに電子署名 |
| 認証方法 | 公証役場に持参 | オンライン申請+公証役場で受取 |
電子定款を利用すれば、印紙代4万円を節約できます。
ただし、電子署名には専用のソフトウェアや電子証明書が必要なため、司法書士に依頼することが多いです。
第4章 定款の認証
4-1 定款認証とは
株式会社の定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じません(会社法第30条)。
合同会社の定款には認証は不要です。
4-2 認証を受ける公証役場
定款の認証を受けるのは、本店所在地を管轄する公証役場です。
大阪府内であれば、どの公証役場でも認証を受けられます。
4-3 公証人との事前打ち合わせ
認証を受ける前に、公証人に定款の内容を確認してもらうことをおすすめします。
事前にFAXやメールで定款案を送付し、修正点があれば訂正します。
4-4 認証当日に必要なもの
| 必要なもの | 内容 |
|---|---|
| 定款 | 紙の場合は3通(原本・謄本・保存用) |
| 発起人の印鑑証明書 | 発行後3か月以内のもの |
| 発起人の実印 | 定款に押印するため |
| 本人確認書類 | 運転免許証など |
| 認証手数料 | 現金または電子決済 |
| 謄本手数料 | 約2,000円(1枚250円×枚数) |
代理人が認証を受ける場合
発起人本人が公証役場に行けない場合、代理人が認証を受けることができます。
| 追加で必要なもの |
| 委任状(発起人の実印押印) |
| 発起人の印鑑証明書 |
| 代理人の本人確認書類 |
| 代理人の認印 |
4-5 定款認証手数料
定款認証の手数料は、資本金の額によって異なります。
| 資本金の額 | 認証手数料 |
|---|---|
| 100万円未満 | 3万円 |
| 100万円以上300万円未満 | 4万円 |
| 300万円以上 | 5万円 |
これに加えて、謄本の交付手数料(約2,000円)がかかります。
4-6 実質的支配者の申告
定款認証の際、「実質的支配者となるべき者の申告書」を提出する必要があります。
これは、マネー・ロンダリング対策として、会社の実質的な支配者を公証人に申告するものです。
| 申告事項 |
| 実質的支配者の氏名 |
| 住所 |
| 生年月日 |
| 国籍 |
| 議決権の割合 |
通常、発起人が実質的支配者になります。
第5章 資本金の払込み
5-1 払込みのタイミング
資本金の払込みは、定款認証後に行います。
ただし、実務上は定款認証の前に払い込んでも、定款認証後に改めて払い込んだことを証明できれば問題ありません。
5-2 払込先の口座
資本金は、発起人の個人口座に払い込みます。
会社はまだ成立していないため、会社名義の口座は存在しません。
| 払込先 | 内容 |
|---|---|
| 発起人の口座 | 発起人が1人なら、その発起人の口座 |
| 複数の発起人がいる場合 | いずれかの発起人の口座 |
| 金融機関 | 銀行、信用金庫、ゆうちょ銀行など |
5-3 払込みの方法
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 振込 | 発起人の名前がわかるように振り込む |
| 預け入れ | 発起人本人が自分の口座に預け入れでもOK |
振込の場合、通帳に発起人の名前が記載されるため、払込みの証明がしやすくなります。
5-4 払込みを証する書面
登記申請の添付書類として、「払込みがあったことを証する書面」が必要です。
これは、以下の書類を合綴(ホチキス止め)して作成します。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 払込みがあったことを証する書面(表紙) | 代表取締役が作成 |
| 通帳のコピー | 表紙、見開き(口座番号・名義人)、払込みが記載されたページ |
【払込みがあったことを証する書面(表紙)の記載例】
払込みがあったことを証する書面
当会社の設立時発行株式については、以下のとおり、全額の
払込みがあったことを証明します。
設立時発行株式数 ○○○株
払込みを受けた金額 金○○○万円
令和○年○月○日
○○県○○市○○町○丁目○番○号
株式会社○○○○
設立時代表取締役 ○○○○ 印
第6章 設立登記の申請
6-1 登記申請の期限
発起設立の場合、登記申請の期限は以下のとおりです。
| 設立の種類 | 登記申請の期限 |
|---|---|
| 発起設立 | 設立時取締役の調査終了日または発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内 |
実務上は、資本金の払込み後、速やかに登記申請を行います。
6-2 申請先
本店所在地を管轄する法務局に申請します。
6-3 申請方法
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 窓口申請 | 法務局の窓口に書類を持参 |
| 郵送申請 | 管轄法務局宛に郵送 |
| オンライン申請 | 登記・供託オンライン申請システムを利用 |
6-4 登記申請書
【設立登記申請書の記載例】
株式会社設立登記申請書
1.商 号 株式会社○○○○
1.本 店 大阪府大阪市中央区谷町二丁目5番4号
1.登記の事由 令和○年○月○日発起設立の手続終了
1.登記すべき事項 別添CD-Rのとおり
1.課税標準金額 金○○○万円
1.登録免許税 金15万円
1.添付書類
定款 1通
設立時取締役の就任承諾書 1通
払込みがあったことを証する書面 1通
設立時取締役の印鑑証明書 1通
印鑑届書 1通
上記のとおり登記の申請をする。
令和○年○月○日
大阪府大阪市中央区谷町二丁目5番4号
申請人 株式会社○○○○
大阪府大阪市○○区○○町○丁目○番○号
代表取締役 ○○○○
連絡先の電話番号 ○○-○○○○-○○○○
6-5 登記すべき事項
登記すべき事項は、以下の内容を記載します。
| 登記事項 |
| 商号 |
| 本店 |
| 公告方法 |
| 目的 |
| 発行可能株式総数 |
| 発行済株式の総数 |
| 資本金の額 |
| 株式の譲渡制限に関する規定 |
| 役員に関する事項 |
| 登記記録に関する事項(設立) |
登記すべき事項は、CD-RまたはオンラインでQRコード付き申請書を利用して提出できます。
6-6 添付書類一覧
| 書類 | 通数 | 備考 |
|---|---|---|
| 定款 | 1通 | 公証人の認証を受けたもの |
| 設立時取締役の就任承諾書 | 各1通 | |
| 設立時代表取締役の就任承諾書 | 1通 | 取締役が2名以上の場合 |
| 払込みがあったことを証する書面 | 1通 | 通帳コピーを合綴 |
| 設立時取締役の印鑑証明書 | 各1通 | 取締役会非設置会社の場合 |
| 本人確認証明書 | 各1通 | 印鑑証明書を添付しない取締役・監査役 |
| 印鑑届書 | 1通 | 会社代表印の届出 |
本人確認証明書
印鑑証明書を添付しない取締役・監査役については、以下の本人確認証明書を添付します。
| 本人確認証明書 |
| 住民票記載事項証明書 |
| 運転免許証のコピー(本人が原本と相違ない旨を記載し署名) |
| マイナンバーカードのコピー(表面のみ) |
6-7 登録免許税
株式会社の設立登記の登録免許税は、以下のとおりです。
| 計算方法 | 金額 |
|---|---|
| 資本金の額 × 0.7% | 計算結果 |
| 最低額 | 15万円 |
つまり、資本金が約2,143万円以下であれば、登録免許税は15万円です。
6-8 会社代表印の届出
設立登記と同時に、**会社の代表印(会社実印)**を届け出ます。
印鑑届書に代表印を押印し、代表取締役の個人の印鑑証明書を添付します。
会社代表印のサイズ
| 要件 |
| 辺の長さが1cm以上3cm以内の正方形に収まるもの |
6-9 登記完了
登記申請から登記完了まで、通常1〜2週間程度かかります。
登記完了予定日は、各法務局のホームページで確認できます。
登記が完了したら、登記事項証明書を取得します。
第7章 設立後の届出
7-1 税務関係の届出
税務署への届出
| 届出書類 | 期限 |
|---|---|
| 法人設立届出書 | 設立日から2か月以内 |
| 青色申告承認申請書 | 設立日から3か月以内(または最初の事業年度終了日の前日) |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 開設日から1か月以内 |
| 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 随時(届出月の翌月以降に適用) |
都道府県税事務所への届出
| 届出書類 | 期限 |
|---|---|
| 法人設立届出書 | 都道府県による(例:大阪府は2か月以内) |
市区町村への届出
| 届出書類 | 期限 |
|---|---|
| 法人設立届出書 | 市区町村による |
7-2 社会保険関係の届出
年金事務所への届出
法人は、役員1人でも社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が義務です。
| 届出書類 | 期限 |
|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険新規適用届 | 事実発生から5日以内 |
| 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 | 事実発生から5日以内 |
| 健康保険被扶養者(異動)届 | 該当者がいる場合 |
労働基準監督署への届出(従業員を雇用する場合)
| 届出書類 | 期限 |
|---|---|
| 労働保険関係成立届 | 従業員を雇用した日から10日以内 |
| 労働保険概算保険料申告書 | 従業員を雇用した日から50日以内 |
ハローワークへの届出(従業員を雇用する場合)
| 届出書類 | 期限 |
|---|---|
| 雇用保険適用事業所設置届 | 設置日から10日以内 |
| 雇用保険被保険者資格取得届 | 雇用した日の翌月10日まで |
7-3 銀行口座の開設
会社設立後、法人名義の銀行口座を開設します。
口座開設に必要な書類
| 書類 |
| 登記事項証明書(発行後3か月以内) |
| 会社の印鑑証明書 |
| 会社代表印 |
| 代表者の本人確認書類 |
| 定款のコピー |
| 会社案内、ホームページなど(事業内容がわかるもの) |
口座開設の注意点
近年、マネー・ロンダリング対策の強化により、法人口座の開設審査が厳しくなっています。
審査に時間がかかる場合や、開設を断られる場合もあります。
以下の点に注意してください。
| 注意点 |
| 事業内容を明確に説明できるようにする |
| 本店所在地がバーチャルオフィスの場合は審査が厳しい傾向 |
| 資本金が少なすぎると審査が厳しい傾向 |
| 複数の銀行に申し込んでおく |
第8章 発起設立と募集設立
8-1 発起設立とは
発起設立とは、発起人のみが設立時発行株式の全部を引き受ける設立方法です。
ほとんどの株式会社は、発起設立で設立されます。
8-2 募集設立とは
募集設立とは、発起人以外の者にも株式を引き受けてもらう設立方法です。
募集設立では、設立時株主を募集し、創立総会を開催する必要があります。
8-3 比較
| 項目 | 発起設立 | 募集設立 |
|---|---|---|
| 株式の引受人 | 発起人のみ | 発起人+その他の引受人 |
| 創立総会 | 不要 | 必要 |
| 手続きの複雑さ | シンプル | 複雑 |
| 利用場面 | ほとんどの会社 | 大規模な資金調達を伴う場合 |
第9章 よくある質問(Q&A)
Q1. 一人でも株式会社を設立できますか?
A. はい、発起人1人、取締役1人で設立できます。
Q2. 資本金1円でも設立できますか?
A. 法律上は可能ですが、実務上はおすすめしません。信用力の観点や、銀行口座開設の審査を考慮して、ある程度の資本金を用意することをおすすめします。
Q3. 取締役に外国人がなることはできますか?
A. はい、可能です。外国人が取締役になる場合、印鑑証明書の代わりにサイン証明書を使用します。
Q4. 自宅を本店所在地にしても問題ありませんか?
A. 法律上は問題ありません。ただし、賃貸住宅の場合は契約上の問題がないか確認してください。
Q5. 設立後すぐに決算が来てしまう場合はどうすればいいですか?
A. 設立日と決算日が近い場合、1期目が短くなります。決算月を変更するか、設立日を調整することを検討してください。
Q6. 電子定款とは何ですか?メリットは?
A. 電子定款とは、PDFで作成し電子署名を付した定款です。印紙代4万円が不要になるメリットがあります。
Q7. 会社設立後、すぐに営業を始められますか?
A. 登記完了後、登記事項証明書を取得し、銀行口座を開設すれば営業を開始できます。許認可が必要な事業の場合は、許認可取得後に営業開始となります。
第10章 まとめ
設立手続きの流れ
| 順序 | 手続き |
|---|---|
| ① | 基本事項の決定(商号、本店、目的、資本金、役員など) |
| ② | 定款の作成 |
| ③ | 定款の認証(公証役場) |
| ④ | 資本金の払込み |
| ⑤ | 設立登記の申請(法務局) |
| ⑥ | 登記完了 |
| ⑦ | 設立後の届出(税務署、年金事務所など) |
| ⑧ | 銀行口座の開設 |
設立費用の目安
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 定款認証手数料 | 3万円〜5万円 |
| 定款の印紙代 | 4万円(電子定款なら0円) |
| 登録免許税 | 15万円〜 |
| 合計 | 約22万円〜25万円程度 |
設立期間の目安
| 期間 |
| 準備開始から登記完了まで2〜4週間程度 |
| 最短で1週間程度も可能 |
当事務所のサポート
当事務所では、株式会社の設立をトータルでサポートしています。
サポート内容
| サポート | 内容 |
|---|---|
| 設立相談 | 商号、目的、資本金などの決定をサポート |
| 定款作成 | 電子定款で印紙代4万円節約 |
| 定款認証代理 | 公証役場での手続きを代行 |
| 設立登記申請 | 法務局への登記申請を代行 |
| 届出サポート | 税務届出などについてご案内 |
費用
設立登記の費用についてはお問い合わせください。電子定款を利用するため、印紙代4万円を節約できます。
ご相談
会社設立をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
税理士の先生方からのご紹介も歓迎しております。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の案件についてはご相談ください。 税務に関する事項については、税理士にご確認ください。