「実家の土地を調べたら、名義が祖父のままだった」

和歌山では、このようなケースが少なくありません。何代も前の名義のまま放置された不動産を相続することを数次相続といいます。

通常の相続登記よりも手続きが複雑になりますが、きちんと対応すれば名義変更は可能です。

本記事では、和歌山の土地の名義が祖父のままだった場合の相続登記の手続きについて解説します。


数次相続とは

数次相続の意味

数次相続とは、相続が発生したのに相続登記をしないうちに、さらに相続が発生することです。

【例】

  1. 祖父が亡くなった(1回目の相続)
  2. 相続登記をしないまま、父が亡くなった(2回目の相続)
  3. 土地の名義は祖父のまま

この場合、祖父から直接、現在の相続人に名義変更することになります。

代襲相続との違い

項目数次相続代襲相続
発生の順序被相続人の死亡後に相続人が死亡被相続人の死亡前に相続人が死亡
祖父死亡→父死亡父死亡→祖父死亡
相続人数次相続人(父の相続人)代襲相続人(孫)

和歌山で数次相続が多い理由

和歌山県では、数次相続のケースが多く見られます。

理由内容
農地・山林が多い登記の必要性を感じにくかった
固定資産税が安い名義変更しなくても困らなかった
相続登記が任意だった2024年まで義務化されていなかった
相続人が分散都市部に転出して実家に関心がなくなった
手続きが面倒後回しにしているうちに次の相続が発生

特に紀南地域や山間部では、先祖代々の土地が何代も前の名義のままになっているケースが珍しくありません。


数次相続の具体例

【事例】祖父名義の土地を孫が相続する場合

【家族関係】

祖父(昭和40年死亡)─┬─ 祖母(昭和50年死亡)

┌────────┴────────┐

父(令和5年死亡) 叔父(存命)

┌─────┴─────┐

長男(存命) 長女(存命)

相続の流れ:

  1. 祖父の相続(昭和40年)
  • 相続人:祖母、父、叔父
  • 相続登記せず
  1. 祖母の相続(昭和50年)
  • 相続人:父、叔父
  • 相続登記せず
  1. 父の相続(令和5年)
  • 相続人:長男、長女
  • ここで初めて相続登記を検討

現在の相続人:

  • 叔父
  • 長男(父の相続人として)
  • 長女(父の相続人として)

この3人で遺産分割協議を行い、相続登記をします。


数次相続の登記手続き

必要な戸籍

数次相続の場合、すべての相続について戸籍を集める必要があります

相続必要な戸籍
1回目(祖父の相続)祖父の出生〜死亡の戸籍、祖父の相続人全員の戸籍
2回目(祖母の相続)祖母の出生〜死亡の戸籍、祖母の相続人全員の戸籍
3回目(父の相続)父の出生〜死亡の戸籍、父の相続人全員の戸籍

戸籍の通数が多くなるため、収集に時間がかかります。古い戸籍は読みづらく、本籍地も転々としていることが多いです。

遺産分割協議

数次相続の場合、現在生存している相続人全員で遺産分割協議を行います。

すでに亡くなっている相続人(父、祖母)については、その相続人(長男、長女)が協議に参加します。

遺産分割協議書の書き方

数次相続の遺産分割協議書は、通常の相続と異なり、相続の経緯を明記します。

【記載例】※あくまで一例です。

遺産分割協議書

被相続人 山田太郎(昭和40年○月○日死亡)

最後の本籍 和歌山県田辺市○○町○番地

最後の住所 和歌山県田辺市○○町○番○号

上記被相続人の遺産について、共同相続人全員で協議した結果、

次のとおり分割することに合意した。

なお、被相続人山田太郎の相続人である山田花子は昭和50年○月○日に、

山田一郎は令和5年○月○日に、それぞれ死亡しているため、

山田花子の相続人及び山田一郎の相続人が本協議に参加した。

1.山田一郎の相続人である山田健太は、次の不動産を取得する。

【土地】

所 在 田辺市○○町○丁目

地 番 ○番○

地 目 宅地

地 積 ○○.○○㎡

令和○年○月○日

【被相続人山田太郎の相続人兼被相続人山田花子の相続人】

住所 和歌山県田辺市○○町○番○号

氏名 山田次郎 ㊞

【被相続人山田太郎の相続人山田一郎の相続人】

住所 大阪府大阪市○○区○○町○番○号

氏名 山田健太 ㊞

【被相続人山田太郎の相続人山田一郎の相続人】

住所 大阪府大阪市○○区○○町○番○号

氏名 山田美咲 ㊞

登記の方法

数次相続の登記は、以下のいずれかの方法で行います。

方法内容メリット
中間省略登記祖父から直接、最終取得者へ登記登録免許税が1回分で済む場合あり
順次登記祖父→父→子の順に登記相続関係が明確になる

いわゆる中間省略登記の要件

中間省略登記(1件の申請で直接、最終取得者に名義変更)ができるのは、中間の相続が単独相続の場合です。

ケース中間省略
中間の相続人が1人だけ○ 可能
中間の相続人が複数いたが、他の相続人が死亡して1人になった○ 可能
中間の相続人が複数いて、遺産分割で1人が取得○ 可能※結果として中間が単独

中間省略登記ができない場合は、順次登記(複数回の登記申請)が必要です。


数次相続の注意点

1. 相続人が多数になる

数次相続を繰り返すと、相続人が数十人になることもあります。

【例】

  • 祖父の子:5人
  • 子の配偶者・孫:各家庭3人ずつ
  • さらに次の世代…

このように、ねずみ算式に相続人が増えていきます。

全員の戸籍を集め、全員と連絡を取り、全員の実印をもらう必要があるため、非常に手間がかかります。

2. 連絡が取れない相続人がいる

相続人が多くなると、中には面識のない親戚連絡先がわからない人が出てきます。

戸籍の附票で住所を調べても、連絡が取れないことがあります。

3. 協力してくれない相続人がいる

「自分には関係ない」「面倒だから協力したくない」という相続人がいると、遺産分割協議がまとまりません。

4. 相続人の中に認知症の方がいる

高齢の相続人の中に、認知症などで判断能力が低下している方がいると、遺産分割協議に参加できません。

この場合、成年後見制度の利用が必要になることがあります。

5. 相続人の中に行方不明の方がいる

相続人の中に行方不明の方がいる場合、不在者財産管理人の選任が必要になることがあります。


数次相続の解決策

解決策1:粘り強く連絡を取る

面識のない相続人にも、手紙などで丁寧に連絡を取ります。

事情を説明し、協力をお願いすることで、多くの場合は協力を得られます。

解決策2:法定相続分での登記

遺産分割協議がまとまらない場合、法定相続分での登記(共有登記)をすることも可能です。

ただし、共有状態は将来的にトラブルの原因になるため、できるだけ遺産分割協議をまとめることをおすすめします。

解決策3:不在者財産管理人・成年後見人の選任

行方不明の相続人がいる場合は不在者財産管理人、認知症の相続人がいる場合は成年後見人の選任を家庭裁判所に申し立てます。

解決策4:専門家に依頼する

数次相続は手続きが複雑なため、司法書士に依頼することで、戸籍収集、相続人調査、遺産分割協議書の作成、登記申請をまとめて任せることができます。


登録免許税の免税措置

数次相続のケースでは、登録免許税の免税措置が適用される場合があります。

相続登記の登録免許税の免税(租税特別措置法第84条の2の3第1項)

相続により土地を取得した者が、相続登記をする前に死亡した場合、その死亡した者を名義人とする相続登記については、登録免許税が免税になります。

【例】

  • 祖父→父→子の数次相続
  • 父を名義人とする登記(中間の登記)は免税
  • 子を名義人とする登記は通常どおり課税

少額の土地の免税(租税特別措置法第84条の2の3第2項)

不動産の価額が100万円以下の土地については、相続登記の登録免許税が免税になります。

和歌山の山間部や過疎地域の土地は、評価額が低いことが多いため、この免税措置が適用されるケースも多いです。


2024年4月からの相続登記義務化

義務化の影響

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。

数次相続のケースでも、2027年3月31日までに登記をしなければなりません。

放置すると、10万円以下の過料が科される可能性があります。

相続人申告登記

遺産分割協議がまとまらない場合でも、相続人申告登記をすることで、ひとまず義務を果たすことができます。

ただし、相続人申告登記は正式な名義変更ではないため、最終的には相続登記が必要です。


和歌山の数次相続の相談事例

事例1:紀の川市の農地(3代前の名義)

状況: 農地を売却しようとしたところ、名義が曽祖父のままだった。相続人を調べたら20人以上いた。

対応: 司法書士が戸籍を収集し、相続人全員に手紙を送付。約6か月かけて全員の同意を得て、相続登記を完了。その後、農地を売却。

事例2:田辺市の山林(祖父名義)

状況: 祖父名義の山林があるが、固定資産税が安いので放置していた。相続登記の義務化を機に登記を決意。

対応: 相続人は5人。遺産分割協議で1人が取得することに合意。約2か月で登記完了。

事例3:和歌山市の宅地(父の兄名義)

状況: 父の実家の土地が、父の兄(叔父)の名義のままだった。叔父には子がなく、叔父の配偶者もすでに死亡。相続人の範囲がわからない。

対応: 司法書士が相続人調査を実施。叔父の兄弟姉妹の子(甥姪)が相続人であることが判明。相続人8人で遺産分割協議を行い、登記完了。


当事務所のサポート

当事務所では、和歌山の数次相続案件を多数サポートしてきました。

サポート内容

サポート内容
相続人調査戸籍を収集して相続人を確定
相続関係説明図の作成複雑な相続関係を図で整理
相続人への連絡サポート手紙の文案作成など
遺産分割協議書の作成数次相続に対応した協議書を作成
相続登記の申請法務局への登記申請
法定相続情報一覧図の作成戸籍の束の代わりに使える証明書

対応エリア

和歌山県全域に対応しています。(実績)

  • 和歌山市、海南市、岩出市、紀の川市
  • 橋本市、伊都郡
  • 有田市、有田郡、御坊市、日高郡
  • 田辺市
  • 新宮市

費用の目安

数次相続の場合、通常の相続登記より費用がかかります。相続の回数、相続人の数により変動しますので、まずはお見積りをご依頼ください。

初回相談・お見積りは無料です。

和歌山出身の司法書士が対応

私自身、和歌山県の出身です。和歌山の不動産事情、地域の特性を理解した上でサポートいたします。

「名義が祖父のまま」「何代も前の名義」という方は、お気軽にご相談ください。


まとめ

ポイント内容
数次相続とは相続登記をしないうちに次の相続が発生すること
和歌山で多い理由農地・山林が多い、固定資産税が安い、義務化されていなかった
手続きの特徴すべての相続について戸籍が必要、相続人が多数になりがち
注意点連絡が取れない相続人、協力しない相続人への対応
義務化2027年3月31日までに登記が必要

和歌山の土地の名義が祖父のままでお困りの方は、お気軽にご相談ください。


本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の案件についてはご相談ください。