本店移転登記とは?手続き・必要書類・費用をわかりやすく解説
会社の本店(本社)を移転した場合、法務局に「本店移転登記」を申請する必要があります。
本店の所在地は登記事項であり、移転した場合は届出が義務付けられています。同じ市区町村内への移転か、他の市区町村への移転かで、手続きや費用が異なります。
本記事では、本店移転登記の手続き、必要書類、費用をわかりやすく解説します。
本店移転登記とは
本店移転登記とは、会社の本店所在地を変更した場合に、法務局に届け出る登記手続きです。
会社の本店は登記事項であり、移転した場合は2週間以内に登記を申請しなければなりません(会社法915条)。
本店移転の2つのパターン
本店移転には、大きく2つのパターンがあります。
1. 管轄内移転
同じ法務局の管轄区域内(東京法務局渋谷出張所)での移転です。例えば、東京都目黒区から東京都渋谷区、大阪市中央区から大阪市北区への移転など。
登記申請は、現在の管轄法務局に1件のみ行います。
2. 管轄外移転
異なる法務局の管轄区域への移転です。例えば、東京都新宿区から神奈川県横浜市への移転、大阪市中央区唐神戸市中央区など。
旧所在地と新所在地の両方の法務局に登記申請が必要です(経由申請)。
本店移転登記の手続きの流れ
ステップ1:定款の確認
まず、定款で本店所在地がどのように定められているか確認します。
パターンA:最小行政区画まで定めている場合 例:「当会社は、本店を東京都新宿区に置く。」
→ 同じ市区町村内の移転であれば、定款変更は不要です。 → 他の市区町村への移転の場合は、定款変更が必要です。
パターンB:具体的な住所まで定めている場合 例:「当会社は、本店を東京都新宿区○○一丁目2番3号に置く。」
→ どこへ移転する場合でも、定款変更が必要です。
※実務的にはほとんど見ない規定です。
ステップ2:株主総会・取締役会の決議
定款変更が必要な場合 株主総会の特別決議で定款変更を決議します。
定款変更が不要な場合
- 取締役会設置会社:取締役会で本店移転を決議
- 取締役会非設置会社:取締役の過半数の一致で決定(または株主総会で決議)
ステップ3:本店移転の実施
決議で定めた日に、本店を移転します。
ステップ4:登記申請
本店移転日から2週間以内に、法務局に登記を申請します。
必要書類
管轄内移転の場合(決議機関による)
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 本店移転登記申請書 | |
| 株主総会議事録 | 定款変更が必要な場合 |
| 株主リスト | 株主総会を開催した場合 |
| 取締役会議事録 | 取締役会で決議した場合 |
| 取締役の決定書 | 取締役の過半数の一致で決定した場合 |
| 委任状 | 代理人が申請する場合 |
管轄外移転の場合(決議機関による)
旧所在地と新所在地の両方に提出する書類が必要です。
旧所在地(経由)分
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 本店移転登記申請書(旧所在地分) | |
| 株主総会議事録 | 定款変更が必要な場合 |
| 株主リスト | 株主総会を開催した場合 |
| 取締役会議事録 | 取締役会で決議した場合 |
| 取締役の決定書 | 取締役の過半数の一致で決定した場合 |
| 委任状 | 代理人が申請する場合 |
新所在地分
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 本店移転登記申請書(新所在地分) | |
| 印鑑届書 | 新所在地の法務局への届出印 |
| 委任状 | 代理人が申請する場合 |
管轄外移転の場合、旧所在地の法務局に両方の申請書を一緒に提出します(経由申請)。
登録免許税
| 移転パターン | 登録免許税 |
|---|---|
| 管轄内移転 | 30,000円 |
| 管轄外移転 | 60,000円(旧所在地30,000円+新所在地30,000円) |
費用の目安
管轄内移転の場合
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 登録免許税 | 30,000円 |
| 登記事項証明書 | 600円/通 |
| 司法書士報酬(依頼する場合) | 3万円〜5万円程度 |
| 合計 | 約6〜8万円 |
管轄外移転の場合
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 登録免許税 | 60,000円 |
| 登記事項証明書 | 600円/通 |
| 司法書士報酬(依頼する場合) | 4万円〜6万円程度 |
| 合計 | 約10〜12万円 |
本店移転後に必要な届出
本店移転登記の後、以下の届出も必要です。
| 届出先 | 届出内容 |
|---|---|
| 税務署(旧・新) | 異動届出書 |
| 都道府県税事務所(旧・新) | 異動届出書 |
| 市区町村役場(旧・新) | 異動届出書 |
| 年金事務所 | 適用事業所所在地変更届 |
| 労働基準監督署 | 名称・所在地変更届 |
| ハローワーク | 事業主事業所各種変更届 |
| 取引銀行 | 届出事項の変更届 |
| 許認可の監督官庁 | 届出または届出書の変更届 |
本店移転登記の期限と過料
本店移転登記は、移転した日から2週間以内に申請する必要があります。
この期限を過ぎると、代表者に対して100万円以下の過料が科される可能性があります。
よくあるご質問
Q. 自宅を本店にしていて、引っ越す場合も登記が必要ですか?
はい、本店として登記している住所を変更する場合は、本店移転登記が必要です。
Q. バーチャルオフィスへ本店を移転できますか?
はい、バーチャルオフィスを本店所在地とすることは可能です。ただし、許認可によっては、実体のある事務所が必要な場合があります。
Q. 本店移転と同時に役員変更もできますか?
はい、同時に申請できます。同じ管轄内であれば、1つの申請書にまとめることも可能です。
Q. 移転先が決まっていないが、登記上の住所だけ変えたい場合は?
登記は実態を反映するものですので、実際に移転していないのに登記だけ変更することは適切ではありません。移転先が決まってから手続きしましょう。
まとめ
本店移転登記は、会社の本店所在地を変更した場合に必要な手続きです。
管轄内移転か管轄外移転かで、手続きや費用が異なります。移転した日から2週間以内に登記を申請しましょう。
本店移転後は、税務署、年金事務所、銀行など、さまざまな届出も必要です。届出漏れがないよう、チェックリストを作成して進めることをお勧めします。
本店移転登記についてご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の案件についてはご相談ください。