2035年ラグビーワールドカップ、日本招致へ正式立候補!
2026年1月14日、日本ラグビー協会は2035年ラグビーワールドカップの招致に正式立候補することを発表しました。
実現すれば、2019年大会以来16年ぶり、2度目の日本開催となります。
今回は、ラグビーに携わる者として、この嬉しいニュースと、私がラグビーを通じて伝えていきたい思いについてお話しします。
2019年大会の「奇跡」を振り返る
2019年、アジア初開催となったラグビーワールドカップ日本大会。
皆さんも記憶に新しいのではないでしょうか。
日本代表が強豪アイルランド、スコットランドを破り、史上初のベスト8進出を果たしたあの興奮。スコットランド戦は国民の約半数、5,480万人がテレビ観戦したと言われています。すごいですよね!!
大会は大成功を収め、ワールドラグビーから「過去最高のワールドカップ」と評価されました。
【2019年大会の主な成果】
- 総観客動員数:約170万人(チケット完売率99%)
- 経済効果:6,464億円(大会史上最高)
- 税収増加:412億円
- 雇用創出:4万6千人
- 世界のファン人口:3億4,400万人→4億500万人(6,100万人増)
特筆すべきは、日本でのラグビーへの関心が急上昇したことです。ニールセン・スポーツの調査によると、大会後、日本における熱心なラグビーファン人口は4倍に、ファン人口全体は138%増となりました。
ラグビー人口の変化と「中学生の壁」
2019年大会の成功を受けて、特に小学生のラグビー人口は着実に増加しました。
2015年:17,743人 → 2019年:22,389人
全国の小学校でのタグラグビー実施率は62%に達し、約90万人の子どもたちが楕円球に触れる機会を得ています。
しかし、課題もあります。
中学生になると、ラグビー部を持つ学校が限られるため、競技を続ける子どもが減ってしまう「中学生の壁」が存在するのです。小学生の登録者数に対し、中学生は約半数に留まっています。
私は現在、中学生にラグビーコーチングをしていますが、この課題を肌で感じています。
特に、私が所属している和歌山県など、ラグビーがあまり盛んでない地域では深刻です。「やりたくても、近くにチームがない」「指導者が少ない」「練習機会がない」という声を何度も聞いてきました。
だからこそ、私は**「ラグビーを続けられる環境づくり」と「ラグビーを通じた人間教育」**の両輪を大切にと考え、ジュニアラグビーチームの立ち上げや、地元の高校のグラウンドをお借りして小中学生が平日にラグビーが出来る機会を設けさせて頂いたり、S&Cの大切さと子供たちがそれに参加させて頂く機会を与えて頂いたりと様々なチャレンジ機会を頂きました。
一人では出来ることは限られていますが、多くの関係者の方に大変なお力添えを頂き、少しずつカタチにすることが出来てきていることに、この場をお借りして心より感謝申し上げます。本当に有難うございます。
ラグビーは、勝ち負けだけを追求するスポーツではありません。
コンフォートゾーン(安心領域)から一歩踏み出す勇気。 失敗しても「まだできないだけ」と捉えて挑戦し続ける心。(考え方、捉え方の大切さ) 仲間のために体を張り、仲間に支えられる経験。
これらは、子どもたちが社会に出たときに必ず必要になります、かつ、活きる力です。
私がジュニア世代の指導で大切にしているのは、「技術」よりも「人としての成長」です。挨拶、準備、片付け、仲間への声かけ――日常の「当たり前の基準」を少しずつ上げていくこと。その積み重ねが、気づいたときには大きな成長につながっています。
ラグビーが盛んでない地域だからこそ、一人ひとりの子どもと向き合い、ラグビーの本当の価値を伝えていきたい。ラグビーや地域の子どもたちに貢献したい。そう思いながら、日々グラウンドに立っています。
また、自分自身が日々実践しながらコンフォートゾーンから脱出することで、子どもたちに一つでも多くの気付きを得てもらうことが出来ればと考えています。
ラグビーは「人を育てる」スポーツ
ラグビーの魅力は、単に競技としての面白さだけではありません。
ワールドラグビーが掲げる**「5つのコアバリュー」**をご存知でしょうか。
- 品位(Integrity) – 正直であること、フェアプレーの精神
- 情熱(Passion) – どんな逆境でも熱い気持ちを持ち続けること
- 結束(Solidarity) – 「One for All, All for One」仲間を信じ支え合うこと
- 規律(Discipline) – ルールを守り、自分自身をコントロールすること
- 尊重(Respect) – チームメイト、相手、レフリーを敬うこと
これらは、ラグビー場だけでなく、社会に出てからも必要とされる力です。
試合が終われば敵も味方もない「ノーサイド」の精神。 体を張って仲間を守り、仲間のために走る「自己犠牲」の精神。
ラグビーは、子どもたちに**「人として大切なこと」**を教えてくれるスポーツなのです。
「ノーサイド・スピリット」を世界へ
今回の招致活動のメッセージは**「NO SIDE SPIRIT」**に決まりました。
土田雅人会長は「分断、格差があふれる時代に、改めて日本に根付いたノーサイド・スピリットが必要とされるはず。世界に発信していきたい」と語っています。
2027年大会はオーストラリア、2031年大会はアメリカで開催が決定しています。 2035年大会の開催地は、2027年11月に正式決定される予定です。
スペインなど他国も招致に意欲を示していますが、2019年大会の成功実績がある日本には大きなアドバンテージがあるのではと考えています。
2035年に向けて、私ができること
あと9年。
2035年にワールドカップが日本で開催されるとき、今の中学生たちは20代半ばになっています。
もしかしたら、日本代表として、あるいは、レフリー、メディカル、指導者、ボランティア等として、大会に関わっているかもしれません。
私自身も、司法書士としての仕事と共に、法律とラグビーを通じた教育活動を続けていきたいと思っています。
ラグビーが教えてくれる「挑戦する勇気」「仲間を信じる心」「最後まであきらめない姿勢」
これらの価値を、一人でも多くの子どもたちに伝えていくこと。 それが、私なりの「オールジャパン」への貢献だと考えています。
ラグビーを支える「縁の下の力持ち」たち
ここで、忘れてはならない方々がいます。
各都道府県のラグビー協会で活動されている皆さんやラグビースクールで関係者です。
子供たちの指導、大会の運営、審判の手配、選手登録の管理、普及活動の企画…。その多くがボランティアとして、仕事や家庭の合間を縫って活動されています。華やかな試合の裏側で、こうした方々の地道な努力があるからこそ、子どもたちがラグビーを楽しめる環境が維持されているのです。
近年、各地の協会では組織基盤の強化に向けた動きも進んでいます。一般社団法人化を検討・実施する協会も増えてきました。これは、ラグビー界全体が「次のステージ」に向けて着実に歩みを進めている証だと感じています。
2035年のワールドカップ招致が実現すれば、こうした地域協会の役割はさらに重要になるでしょう。全国12都市で開催された2019年大会のように、地域の力なくして大会の成功はありえません。
日頃から地域のラグビーを支えてくださっている皆様に、心から感謝しています。有難うございます。
2035年、もし日本で開催されることになれば、私も何らかの形でこの歴史的な大会に携わることができればと思っています。法務面でのサポートなのか、地域での普及活動なのか、形はまだわかりません。ただ、ラグビーに関わる一人として、この大きなうねりの中に身を置いていたい――そんな思いを抱いています。
おわりに
「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」
2019年大会のキャッチコピーは、多くの人の心に残りました。
2035年、再び日本でワールドカップが開催されれば、それはまた新たな「一生に一度」の体験となるでしょう。
招致活動の成功を心から願うとともに、その日に向けて、ラグビーの素晴らしさを伝え続けていきたいと思います。
A&T司法書士事務所 司法書士 辻 昭憲